【設備設計】建築設計で3D CAD(=BIM)が広まらない本当の理由

 BIMに中々手が付かない。将来はBIMが必要だというのは頭では分かっているものの普段の仕事がなかなか忙しい事もあってなかなか取り組めていない。こんな現状を肯定する気はないが、BIMが無くても仕事が出来てしまうのがもっとも大きな理由だと思う。

 自動車会社に3D CADが導入されたのは約30年ほど前だ。それまでは建築と同じ2D図面をCADや手書きで行っていた。そして最初は内製や国内メーカーのCADを使ってたのが、今はCATIAというフランスの軍事産業から生まれたCADが業界のスタンダードとなりつつある。

 建築でBIMが発売されたのは2000年代初らしいが、自動車ほど普及がしていかないのは、壁が垂直で2D CADとの相性が良いからだと思う。自動車の設計の場合、

・人がまっすぐ座らない
・タイヤが丸い
・ガラスが湾曲
・ホース経路が3D空間を配策

と、例をあげたらきりがないくらい平面で表しきれない事が多い。それに対して建築は壁がまっすぐな事が99%なので、どこで断面を切っても、平面図で表す事が容易だ。結果最後は2Dの図面に表すことになり、それであれば最初から2D図面を描こう、となるんだと思う。

 では3D CAD≒BIMは不要か?というと、そうではないと思う。図面としては不要だが、集計作業としてBIMが必要になると思うからだ。

 電気の場合、照明、接続機器の消費電力の合計を出す必要があるし、照明の数を数えたりする必要がある。機械の場合も換気扇の凡例マークは1つだが、実際は風量違いで何種類も換気扇があり、それぞれが何個かを機器表とにらめっこすることが多々ある。そんな場合に2D図面だと容易だが、大規模物件だと、数100個ある器具の数や電力を集計するのは大変骨が折れる。

 大規模物件からBIM化が進んでいるのもそんな理由からだと思われる。中規模物件まではAutoCAD+集計エクセルなどで効率化し、大規模物件はBIMという流れが正解な気がする。来るべきBIMの時代はまだまだ先かもしれないが、いつか受注する大規模物件に向けてBIMも少しづつ勉強せねばと思う。

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