【設備設計】マンションでは1分間に最大何Lの水を使うか?
蛇口をひねれば水が出る。普段意識しないが、当然それには設計が必要だ。5Fを超える建築物では水道管本体の水圧では足りないため、直結増圧ポンプといわれる水圧を増圧するポンプが設置して水圧を補う方法で上層階の水圧を確保している。
今回受注した物件は15階建で、建物自体で45m程度ある。そこに末端での必要圧力などを足して、65m程度の高さに水を上げるポンプが必要となる。75m以上のポンプは無いため、直結増圧ポンプの性能でカバーできる建物の限界に近い。
高さは計算方法に種類は無いが、水量についてはいくつか計算方法がある。
1)人数によって算出する方法
2)戸数によって計算する方法
3)給水器具によって算出する方法
今回全59戸で、54戸が単身者用マンションで1Rの人員を1として算出したのだが、それが計算結果に及ぼす影響が結構大きかった。
ちょっとマニアックな記事なので、続きは弊社HPにて
1)人数による算出方法
指定給水装置工事事業者工事施行要領によると過去の調査で下記の算出式を導いたらしい。4. 設計施工基準見出し (tokyo.lg.jp)
給水量 Q=15×P^0.51
今回59戸で1部1LDKがあるため65人となり、128L/minとなる
2)戸数による計算
BL(ベターリビング)sps23.pdf (cbl.or.jp)の認定基準というものがあり、
給水量Q=19×N^0.67
今回59戸で計算すると、292L/minとなる
3)給水負荷単位による計算
トイレ、洗面所など、水を使う箇所から同時使用流量を算出して同時使用率をかけるやり方。このやり方だと、230L/minになる。
1)人員による給水量:128L/min
2)戸数による給水量:292L/min
3)給水負荷単位による給水量:230L/min
どれが正しいか、深彫りしてみる。
1)人員による給水
じつはこれ、落とし穴がある。1R,1Kでも想定人員を1~2にしなさいという指針が載っている。
Q=15×P^0.51を算出した論文(df (jst.go.jp))を見ると調査した物件の平均世帯人数は2人となっている。そう、この式は人数方式といいながら二人世帯の給水量に近いため、単身者用の場合1Rを2人にする必要があるのだ。
1Rを2人、2DKを4人にして計算すると、190L/minとなる。安全率を20%くらいとると、3)の負荷単位法と近しくなる。
2)戸数による計算
これは1970年代のデータで4人家族前提の数字のためかなり大きく出ると考えられる
【弊社で出した結論】
・負荷単位法が正確に算出できる方法
・人員法を使う場合は1Rの想定人員を2名とする必要がある
各社色々なノウハウがある部分だと思う。過大設計でも過小設計でも金額に大きく反映する部分なので、色々な人に意見を聞いて進めたいと思った。